時代劇初心者におすすめ!徳川時代を知る作品2(綱吉〜吉宗)

徳川前中期の平和かつ安定した時代に花開いた町人たちの文化とは

犬将軍の真価は町人文化にあり!

第5代将軍・綱吉となると戦国の世から天下泰平の世となり、経済状況も安定。下々の者まで平和に暮らせる状況となりました。何より町人たちに余裕が生まれたことによって彼ら自身が文化の作り手となりました。

これを元禄文化と言い、主に上方中心で栄えました。近松門左衛門、井原西鶴、松尾芭蕉といった文化人を生み出し、浄瑠璃、歌舞伎、能などの芸能から国学、儒学、蘭学などの学問に至るまで町人主役の文化が大成しました。

文学では近松門左衛門、井原西鶴そして俳句の松尾芭蕉をはじめとした文化人を輩出し、学問や絵画、演芸、娯楽など幅広い分野で町人自身が主人公となり活躍しました。

実在の事件をモデルにした作品がたくさん生まれました。近松門左衛門「曽根崎心中」「女殺油地獄」!

元禄町人文化を代表する作品リスト

曽根崎心中(1978)

増村保造監督作品。抑圧された社会の中でもがきながら生きる女性像を梶芽衣子が熱演。

元禄16年4月7日(1703年5月22日)に大坂堂島新地の女郎はつと内本町醤油商平野屋徳兵衛が相対死した実在の事件がテーマ。徳兵衛の主人 久右衛門が持ち込んだ縁談をはつがいるからと断り続けたが、怒った久右衛門は渡した持参金を返せと迫るが…

江戸時代。町人文化は謳歌しても自由恋愛はなかなかできない不条理さが垣間見れるわね

「女殺油地獄」(1992)

樋口可南子主演。

五社英雄監督の遺作。樋口可南子、堤真一共演。主役・お吉の魔性にスポットが当てられる形で原作から改変されている。

大阪の油屋・豊島屋の女房・お吉が殺された。殺害現場には油と血のりが散らばり、「河内屋」の銘が入った油樽も転がっていた。かつてお吉は、河内屋・与兵衛の乳母代わりをしていた。乳母代わりの女と男の間に一体どのような関係があったのか。凄惨な愛を描く。

主演・樋口可南子の色気とラストシーンは本当にヌルヌルの「油」地獄w

西鶴一代女(1952年)

溝口健二監督。井原西鶴の「好色一代女」が原作。ヴェネチア国際映画祭で国際賞を受賞した海外で評価の高い作品

女性の地位が低く身分差別も普通にあった江戸時代で、まさに男たちによって人生を翻弄され、生んだ子と離され最終的には娼婦に転落し不幸な運命を辿らざるを得なかった女性・お春の物語。お春は田中絹代が演じた。

ポスタービジュアルのレトロでおしゃれな感じとは裏腹に、封建社会での女性をただそのままに描いただけで実は救いがないストーリー展開

おおらかな綱吉時代とは打って変わって質素倹約な上様は、紀州藩の「暴れん坊将軍」

八代将軍吉宗の生家、紀州和歌山城

享保元年(1716年)に将軍徳川家継が8歳で急逝すると直系の男子がいなくなった将軍家では、紀州藩の徳川吉宗を将軍として江戸に迎え入れました。

主に取り組んだことの一つとして享保の改革が挙げられます。

将軍自らも贅沢なものは身に付けないなど質素倹約に努め、江戸時代の税制の基礎であった米の価格を調整するために上米制などに取り組んだ結果、様々な増税を強いられた民衆は頻繁に百姓一揆を起こすなどの弊害も発生しました。

そのせいで米将軍などというあだ名もついちゃった

ぎゅっと締め上げられた町民たちは当然余裕がないため、文化面では綱吉時代と比べると逼塞してしまいました。

吉宗といえばもう「暴れん坊将軍」しかない!…と言いたいところですが、これは吉宗一代記というよりノンフィクションにフィクションを織り交ぜた勧善懲悪のエンタメ時代劇の長寿シリーズです。

しかし1話完結型でどの話から見てもすぐに楽しめるお手軽さも長く続いた秘訣のように思えます。

「暴れん坊将軍」

松平健主演のロングヒット時代劇。

まず「暴れん坊将軍」という二つ名は実際に吉宗が幼少期に暴れん坊で手がつけられなかっったことからつけられたタイトル。そして松平健扮する吉宗が市井で名乗っている「新之助」も若き日の名前で、火事対策のために火消しを設置したことや財政対策や官僚制度改革のため水野忠之、大岡忠相、そして小石川養生所などもバッチリ出てきます!

そしてストーリーは単純明快。

遊び人・徳田新之助と名乗って街へ繰り出すと毎回事件に遭遇。ただの侍として話を親身に聞いてあげます。そんな中で事件が起きたり、時には自ら顔をつっこんでいきます。

そして悪をきっちり捌き、その過程でだいたい身バレしてしまう…という勧善懲悪モノです。

「マツケンサンバ」ヒット以降に「暴れん坊将軍」も当然注目を浴びています

そして一生を追いたいという方NHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」をオススメします!

NHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」

西田敏行主演。徳川綱吉の元禄時代から吉宗の晩年までを扱う。

近松門左衛門(江守徹)がナレーションのみならず時代背景の解説などを行うナビゲーターとしたユニークな演出があった。全48回。大名同士の争いというよりも将軍家の内部にスポットを当てているため、ホームドラマ色が強い。

暴れん坊将軍と比較してみてみるのも面白い!

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